ブロ愚

日々徒然と妄想文

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いつぞやの二十五夜
そういえば過去の原稿のデータを見てたらいつぞやのケンフツ本のボツ文見つけたので載せておきます。推敲してないです。
なんでボツにしたんだったかな、確かここだけ雰囲気が違いすぎるからとかそんな理由だったような。










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「ケンジは夢見が悪いって本当?」

 前を歩いていたキヨハルが、思い出したように振り向いて唐突に尋ねてきた。
「どこ情報だよそれは……」
 作戦行動の後は流石の自分も体が重い。基地までの道のりを引きずるように歩いて居たところへ話しかけられても、テンションの高い応答なんぞできる筈もなかった。
「違うの? 彼とか隊長が、ケンジはいつもうなされてるって心配してたけど」
 彼、と言いながら肩を叩かれたそいつが、今初めて会話が続いていることに気付いたような顔でキヨハルを見る。
「ねえ、前に言ってたじゃないか」
「うん」
「オマエ話聞いてなかったよなあ?」
 適当に頷くなと頭を小突つくと、叱られた子供のように目に見ええてしゅんとする。
「いや、まあ、いいけどよ。疲れてたんだろ」
「ケンジは彼にだけ優しいよねー」
 思っていなかった反応に慌てて取り繕う姿を囃し立てられ、キヨハルを睨むも平然としている。代わりに、後方にいた小さい悪魔どもがぱっと散って逃げた。
「随分余裕のご様子で。体力有り余ってんなら消費するの協力するぜ?」
「なぁに? やだやだ、君はすぐ暴力に走るんだから」
「夫婦喧嘩もほどほどにな」
 オレたちの前を歩いていた禿頭の大男が笑う。そいつこそがうちの小隊の隊長なのだが、厳つい見た目に反してやけにつぶらな眼をしている。
 ぐい、と腹の肉を摘まれた。
「いって、んだよ」
 キヨハルの仕業かと思いきや、人の夢見がどうだとか、妙なことにばかり気を揉んでいる奴の方だった。どこか機嫌が悪そうに見えるが、黙ったまま人のデモニカスーツを伸ばして遊んでいるばかりで真意が掴めない。どうも最初から服の裾を摘みたかったらしいことぐらいしか、三年の付き合いじゃわからない。
「やきもち」
「あ? ヤキモチ?」
 うん、と頷かれる。焼き餅がどうかしたのだろうか。腹が減ったのか。唐突に餅をねだられても困るんだが、まさかこいつに限って嫉妬という意味では、いやまさか。まさかとは思うが。
「妬いた?」
「うん」
 恥ずかしそうにこくりと頷く。
……………………なんだこの可愛い生き物。
「よ、よしよし、自己申告できて偉いな。ホウレンソウは大事だしな?」
 我ながら訳のわからない褒めどころだとは思うが、ぐりぐりと頭を撫でられている相手は満足げなのでまあ、いいんだろう。


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