ブロ愚

日々徒然と妄想文

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不幸な街の幸福なひと・2
”ループしすぎでおかしくなった荒主”の続き……というか前日譚。2700くらい。続きからどうぞ。
最近この妄想が熱くてしょうがないのはたぶん現実逃避。

ss連作が一番性に合ってるのかもしれないなとふと思いました。










 過去に戻ろうと決意した。4月のはじめ、この一年の全てが始まるところからもう一度やり直そう。
 失ったことが何にもならなかったとは思わない。そんな風に思うのは、彼にも彼の意思を受け継いだ彼らにも失礼になる。けれど……と、どうしても考えてしまう。亡くさずに済んだ道だってあったんじゃないか。今ならその道を、歩けるんじゃないかって。
 俺にとってだって彼は大切な仲間だ。彼のことをもっと知りたかったし、笑って欲しかった。
 だから、戻ろう。『皆』で迎える大団円を、何より俺が見たいから。



 未来から来たなんて言っても信じて貰える訳が無かった。冷静に考えれば当たり前のことなのに、大分頭に血が上っていたらしい。完全に不審人物――というより頭がおかしい扱いだ。なんたる。
 こんなことで引き下がる訳にはいかない。鬱陶しいと思われてもいい、とにかく荒垣先輩に話を聞いてもらわないと。
 諦めたのか呆れたのかは知らないけど、三ヶ月ストーキング……もとい、後ろを追いかけてようやく彼は態度を軟化させてくれた。ただ、十月の話がしづらくなってしまった。ゲーセンで遊んだりご飯を食べたり。普通の先輩後輩みたいな間柄は居心地がよくて、先輩に促されても話を切り出せないまま時間が過ぎていく。命に関わることだって解っているのに。
 八月末になってようやく彼にそのことを話した。活動部に戻ってこなくてもいいと言っても彼は天田が居るなら行かない訳にはいかない、それどころか命を落としてもいい、むしろその為に生きてきたと言い切った。その後もずっと説得を試みたけど、彼は頑なだった。
 冷戦のような九月が過ぎて、十月。影時間に入ってからすぐ真田先輩に話して路地裏に行ってもらった。大型シャドウを慌てて倒して、大急ぎで後を追う。
 ……結果は同じだった。

 彼は最期に俺を見て、悲しそうにごめんなと呟いた。

 決意はより強固になった。彼を、あの優しい人を救いたい。彼の生きている未来が欲しい。
 あの人が助かるまで、三月五日以降の未来なんて無くていい。



 十月四日のパーティを予め指名しておいた。荒垣先輩、天田、真田先輩で行くからさぼらないように。リーダー命令ですと言いおいて、ちゃんと現れた二人を見てどうして早くこうしなかったんだろうと胸をなで下ろした。
 ……甘すぎたと思う。タカヤに撃たれなければ平気だなんてどうして決めつけたんだろう。天田はそのつもりで呼び出していたのに。



 そうだ、天田を懐柔しよう。
 こう言うと非道な作戦に思える。思うだけじゃなくて事実そうかもしれない。コミュを、絆を利用する。思えば最初から俺は酷い奴だったんだな。けど、天田の憎しみを何とか別の方向に逸らせたら……。
 ……案の定うまくはいかなかった。いかなかったけど、仲良くしていたからか荒垣先輩に天田のことを頼まれてしまった。全方向に土下座したくなった。



 そうだ、真田先輩を以下省略。失敗。先輩の天然を甘く見ていた。



 思い切ってストレガと仲良くしてみた。スパイ疑惑浮上で十月が云々の話じゃなくなってしまった。味方が敵に回るって怖い。



 いっそストレガになってみた。世界が滅んだ。流石に迷走しすぎたな、と反省する。



 天田と荒垣先輩を仲良くさせよう。八回も繰り返せば大体の思考と行動のパターンは理解している。俺はひたすら裏で糸を引くだけ。
 うまくいきそうだったけど、バレた。学級裁判ならぬ活動部裁判にかけられてしまった。天田に弾丸論破される。
 却って憎しみを増幅させる結果に。



 最初の方法に戻ってみる。説得。ただし、彼好みの人物になりきる。設定はこうだ。「普段は気丈にふるまっているが過去に酷いことをされたため心は堅く閉ざしている」庇護欲刺激攻撃。
 で、試した。びっくりだ。先輩がめちゃくちゃ優しい。何ていうか全体的に甘い。砂糖吐きそう。
 夏頃に良心が限界を迎え土下座で洗いざらい喋った。怒られた。演技には薄々気付いていたらしい。さすが!(ヤケ)
 肝心の説得は失敗した。体の接触持ってもまだ駄目なのか。



 今回も駄目だった。いい加減、策も思いつかなくなってくる。

ⅩⅠ
 次がある、と思った瞬間我に返った。次? 次ってなんだ。この荒垣先輩は死んでしまって、もう二度と会えないのに。

ⅩⅡ どうすればいい

ⅩⅢ どうすれば彼は助かるんだろう
ⅩⅣ答えが出ないⅩⅤ出ないままずっと時間が過ぎてく
ⅩⅥ繰り返すⅩⅦ繰り返すⅩⅧあれは何回目の記憶だっけⅩⅨ今の俺は彼とどういう関係だったっけⅩⅩ荒垣先輩はⅩⅩⅠせんぱいⅩⅩⅡⅩⅩⅢⅩⅩⅣⅩⅩⅤⅩⅩⅥⅩⅩⅦⅩⅩⅧⅩⅩⅨ

ⅩⅩⅩ
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 どうしてこんなに簡単なことに気づかなかったんだろう! 少し考えればすぐ思いつくはずだったのに。何十年も悩んで馬鹿みたいだ。消してしまえば良かったんだ何もかも。彼の死になる原因も、彼に罪を負わせるものも!
 ……こんなに繰り返してきたっていうのに、先輩が泣いているところを初めて見た。どうして彼は泣いてるんだろう。俺に怒っているんだろう。生きてるのに。先輩を生かすためにやったっていうのに。
 殴られた頬が痛くて痛くて、なんだか俺まで泣けてきた。
 ごめんなさい。
 ごめんなさい。
 ごめんなさい。



ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩ
 手のひらの上で季節がほどけるのをぼんやり眺めて日々が過ぎた。求められることはしたけど、そうでないことは何もしなかった。それは奇しくも一番最初の二〇〇九年とよく似ていた。
 先輩とも殆ど話さなかった。ただ事務的にペルソナとタルタロスの話をして終わった。これでいいと笑った彼の目に俺は映らなかった。
 十月五日に先輩に渡した装備品を受け取りに彼の部屋へ入った。何回見たのかわからない段ボール箱の中に、見覚えのない紙片が入っていた。畳まれていたそれを広げて中に書かれていたものを読んだ途端、膝から力が抜けて崩れ落ちた。

「無理するなよ」

 それだけ。彼のぶっきらぼうな字でたったそれだけ書かれていた。
 心配性で世話焼きの彼は、なるべく彼に関わらずにいようとする俺のことを気にしていたんだろう。けれど優しいあの人は、あえて踏み込まなかったんだ。その代わりに、たった一言だけ書き残した。わかる。だって何十年も彼のことを見てきた。

 ねえ、先輩。いいのかな。もう、頑張らなくてもいい?
 記憶の中の彼はいつだって優しい。気遣う声でもういいって言ってくれる。
 涙で輪郭が滲んで何も見えなくなる。瞼の裏に、思い出の灯火がちかちか――ちかちか光って――

 先輩。
 荒垣先輩。
 俺は、何がしたかったんだっけ。



ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅠ


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