ブロ愚

日々徒然と妄想文

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色々と季節を錯誤するサイト劇的蒼
劇的蒼は年明けまでクリスマス仕様です!(キリッ)

……すいません。
いや本当は去年と同じく年末大掃除な絵を描くつもりだったんですが
姉の原稿手伝ったりリアル大掃除していたらもういいやってなっちゃ……ゲフン。

書きかけで放置したものに手を加えたらやたら話が迷走してしまったやつが
あるんですが、もうちょっと話をまとめてからうpします。
年内 できたら いいね ……。


さよならをおしえて後編の1-1が書けたので(短いですが)
↓続きにのっけておきます。どうせサンプルで使(ry














Ⅲ.soiree des au revoires
さよならの黄昏


   1

 その人のことが好きだと思った。例えば世話焼きな性格とか、声からにじみ出る優しさとか、素直じゃなくて天の邪鬼なところとか、頭を撫でてくれる手とか、その全てで胸がいっぱいになって苦しいほどで。ただ傍に居られたら、それだけで他にどんな困難があっても耐えられる。そう思った。
 けど、胸の内を打ち明けたその日、告げられたのは近いうちに別れが来るということだった。それは心理の別離ではなく、物理の距離でもなく。

 未だその垣根を逆さに越えた者はいない、えいえんの、さよならのことだった。

 それでも構わない。俺はそう言った。仕方なかった。そうでなければ、そうでも言って縋らなければ、自分に向けられる好意の全てを遠ざけよう遠ざけようと苦心している彼は俺を突き放しただろう。たとえ自分が孤独に陥ってでも、他の何かを傷つけまいと喪失の痛みを味わわせまいとしている人だから。
 彼はかなり渋ったけれど、頼み込んでようやく俺は彼の隣にいる大義名分を得た。それだけで嬉しかった。付き合ってるなんて名ばかりでもよかったのだ。触れることが無くても。相手に好意が無くても。ただ隣にいて、時々言葉を交わせられたら、それだけで満足できた。だけどそれで終わらなくなったのは、彼のほうだった。
 初めてキスされたとき、何が起こったのかよく解らなかった。ぽかんとする俺に、彼は照れながらぶっきらぼうに「俺たち付き合ってるんだろ」と言った。俺の知らないうちに、彼の中で、俺の存在は大きくなっていたのだ。それから肌を重ねるようになるのに時間はかからなかった。嫌なわけ無かった。嬉しくて苦しくて、幸せで狂おしかった。
 だけど、囁かれる愛の言葉は、心を灼く毒だった。
 ただ傍らにあるだけで満足していたはずの心が、『それ以上』を求めて不服を訴え出す。もっと触れたい、繋がりたい、もっと、もっと、……ずっと、いっしょにいたい。
 それが叶うことのない願いであることは解っていた。だから、そう言って彼に縋ることはしなかった。当然のことだった。縋ったからといって自分の考えを改めるような人でもないし、なにより、俺自身が長く生きることさえ、出来ないのだから。
 そう。だからこれは正しい結末だった。何よりも”俺たち”の最後に相応しい幕引きだった。あの人は死んで。あの人は託して。俺じゃなくて、天田に、真田先輩に。言葉のひとつも交わさないで。きっと誰も知らなかっただろう。きっと誰も気付かなかっただろう。俺と先輩が付き合ってたなんて思いもしないで、俺がこのままずっと口を閉ざしたままいなくなれば、何もかも無かったことになるんだ。
「指を、添えて……」
 微かな音を立てながら、ゆっくり、刃を動かして赤い色を削いでいく。
 今頃あの人の体は燃やされている。俺の好きだった指も髪も全部全部煙に変えて、俺の手が届かない場所へ連れていく。元々近くになんて居なかったのに。いつだって遠い、遠い人だった。なのにこれ以上引き離してどうしようって言うんだろう。
 ……間違っていたんだろうか。望まなければよかったのか。それとも、望めばよかったのか。あの人の矜持を紙みたいなものと切り捨てて?
 皮が、静かに床に落ちる。林檎は綺麗なものだった。若干歪だけど少なくとも球形だし、血が付いていることもない。けれど、どんなに上手く出来たって、褒める声はもうない。
 のろのろと顔を上げると、窓から差し込む夕日がやけに目に染みた。悔しいくらいに透き通った赤色を阻む煙は見えない。

 それは多分、美しい夕焼けだったんだろう。


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