ブロ愚

日々徒然と妄想文

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BGM:アンチクロロベンゼン
「本当に殺しに来た訳では無いようだな」
「別に直哉くらいだったらいつでも殺せるから。そんな急かすなよ」
 そう言いながら万年出しっぱなしのこたつに入ってあったかーい、なんて勝手に和んだ。雪が時折ちらつくようになって久しく、暑かったあの季節はもう随分前のことのように思える。
「血の匂いがするな」
「え、うそっ。ごめん、ちゃんと洗ってるんだけど」
「お前の言動がだ」
 慌ててマントを引き剥がした手を止めて、なんだとそれを放り投げた。手を離せばただの布っきれにしかみえないものが床に白い色を広げる。清廉の白、純潔の白だなんて言うけれど、やたらに赤が映えるその色は黒よりずっと罪深い気がする。


― ― ―

書きかけ「私は丘の上から花瓶を投げる」から。
直哉キチなヤンデレ主人公を書こうと思ったら意外と大人しい子になった。
主……直……?

ちょっと本の装丁で悩んでます。
せっかくタイトルに花が入ってるんだからフィオーレ……。
ネットで紙だけ売ってるとこ発見したから本文はコピーで
カバーをフィオーレにだな……とか悶々と考える日々。正直楽しい。
いや桜色のフィオーレがあってそれがまた可愛(ry


拍手下さった方々ありがとうございました!


で、ですね。続きから以前言っていた1年くらいかけて書いてる短編です。
唐突に「そうだハム子も足そう」と思いついたので、まだ時間かかりそう。
なのでとりあえず男主だけ版。途中までですが。

↓イフものです。










 やかましい。
 耳のすぐ傍で延々と同じ歌を垂れ流し続けるそれを、くっつきたがる瞼をこじ開けて見る。
 持ち歩ける電話、よりは電子郵便の手紙兼ポスト兼郵便局として使う方が頻度は高いそれ。要は携帯電話、いわゆるケータイ。まんまじゃん、というツッコミは封印。略称なんてそんなものだ。
 枕に頭を乗っけたまま、音と光で着信を絶賛お知らせサービス中、な文明の利器を引っ掴む。
 何事かと確認すれば、画面に写されたのは母からの電話を示すものだった。とりあえず切った。
 さておやすみなさいと瞼を閉じて、再び夢の中へ……突入する前に恐怖を焼き尽くせぇぇと英語で携帯が叫ぶ。今度は目を閉じたまま切った。僕って器用だなぁと思ったけど2つ折りを開けてボタンを1つ押すだけなんだからそうでもないか。
 さておやすみなさいと以下省略。仕方なく通話ボタンを押した。仏の顔も3度までって言うし。
『おはようあーちゃん』
「あーちゃんって呼ぶの止めて下さいお母様」
 携帯を耳に当てるとニコニコした笑顔が浮かんできそうな母の声が聞こえた。最初の一言で「うわ切りてぇ!」って思ったのをぐっと抑えて言葉を返す。切ってもどうせまた掛かってくるに違いない。
『目は覚めたかしら、あーちゃん?』
「おかげさまで半分くらいはー」
 はーあ、とわざとらしく溜息を吐いてみる。
 "あーちゃん"っていうのは僕の小さい頃のあだ名みたいなものだ。命名は母で主に呼んでいたのも母だ。あんまりそう呼ばれるものだから、一時期(幼稚園に上がるころぐらいだったろうか)僕の一人称も"あーちゃん"だった。
 幼稚園や小学校低学年の頃なら男でもちゃん付けは可愛らしいものなんだろうが、僕はもう高校生だ。"小さい"とか"中性的"とか評される事はあるけど、第二次性徴だって来てるし何処にとは言わないけど毛だって生えてる。朝から何言ってるんだろう僕は。
 とにかく"あーちゃん"呼びはむず痒い、というか恥ずかしいから止めてくれと頼んだのは中学生の時だ。イエス、反抗期。その時一緒に"パパママ"が"父さん母さん"に変わったけど、一人称だけは"僕"から"俺"に変えるタイミングを見失い、未だ僕は"僕"のままでいる。いいんだけどさ。今更”俺”にしたって違和感を覚えるばかりだろうし。
『早く起きないと遅刻するわよ』
「わかってるよ」
 とびきり母親らしい台詞を言って満足したのか目が覚めたと判断したのか、降りていらっしゃい、と一言告げると通話を切った。つーつーと切られたことを示す音を電源ボタン連打でぶった切る。
 この間の誕生日に、父に携帯を買ってもらってからの母のはしゃぎっぷりは凄い。何がそんなに嬉しいのか、やたら携帯を使いたがる。家にいるのにメール送ってきたりとか。今日はモーニングコールだったし。
 ふーっと深く息を吐いて、甘い夢の世界とさよならするために体を起こした。うう、まだ眠い。学校さえなければもう一度布団の中へダイブするのに。
 青い市松模様の布団を蹴飛ばして、眠気覚ましに体をぐっと伸ばす。腰とか首とかをゴキゴキ鳴らしてから脱力した。
 ベッドから降りて昨晩から閉まったままのカーテンを開けば、目に痛い朝の陽光が飛び込んでくる。ようやく頭と体が覚醒してきたかな、と眩しさに目を細めながら窓の向こうを見つめた。
 澄み渡る青い空と、青い海に浮かぶ人工島。月の光の名を冠した白い橋とモノレールが、非日常の場所にも見えるそこと僕らの生きる大地を結んでいる。
 高台にある我が家の窓からは、僕の通う月光館学園があるポートアイランドが一望でき、今日も今日とて変わらないその風景が、僕は結構好きだった。
「ん?」
 再び女性ボーカルの声が聞こえて、もう一度携帯を見る。今度は電話じゃなくてメールの方だった。
『ごはん冷めちゃうよ~(>_<)』
 文明を謳歌してるなぁ、母さんは。多分、僕よりもずっと。



IF「あらゆる不幸が起こらなかった世界なら」



 制服に着替えて二階にある自分の部屋から一階のリビングへ下りると、そこにはもう出来上がった朝食と新聞を広げて読む父の姿があった。
「ん、おはよう青」
 左手に新聞右手にマグカップを持ち、青の"お"の辺りでずるるる、と音を立ててコーヒーを啜る我が父。
 僕は母親似らしいので、父とはあまり似てない。ああでも、目が似てる、とはよく言われる。逆ラピュタである。性格は……父にも母にも似たくないなぁ。息子の僕から見ても、ちょっと変な人たちだから。
「おはよう父さん。綾時は?」
 椅子を引いて座りながら、姿の見えないもう1人の家族の行方を訊いてみる。
「もう学校行ったぞ。運動会の練習とか何とか」
 綾時、というのは僕の弟。綾時と書いてりょうじと読む。七歳離れていて、今は小学五年生だ。
 僕の家は大空青時(せいじ)、綾緒(あやお)、青(僕)、綾時の四人家族。どこにでもある中流家庭。変わったことと言えば、母親がバイオリン奏者で父親が研究職(何の研究かは知らない)、という組み合わせくらいだろうか。
 ……当たり前のことなんだけど、どこからか言えと言う圧力を感じるので一応言っておく。
 僕には、実の両親が居て、物心付いたころから住んでいる家があって、事故なんてこれまでの人生の中で遭った事もなければ記憶喪失になったこともない。健康的なことに入院歴も通院歴も無い。無口か饒舌かと問われればよく喋るほうに分類されるだろうし、夢は殆ど見ないくらいにぐっすり眠ることが多い。何を誰に説明してるんだろうな、僕は。
「いただきます」
 胸の前に手を合わせ、特に食べ物への感謝とかを考えることなくお決まりの言葉を言うと、めしあがれー、という声がキッチンの方から飛んできた。
 白いプレートに目玉焼きとカリカリに焼いたベーコン、ちぎったレタスに手作りのポテトサラダがのせてあるのが、我が家の朝食の定番だ。ベーコンがウインナーになったり多少の変化はあるけど、基本は洋食。
「はい、どうぞ」
 母さんがこれまた手作りのコーンポタージュとトーストを持ってキッチンから現れた。
「ありがと」
 それを受け取って、焼きたてのトーストに苺のジャムをのせる。これもやっぱり母さんの手作り……ではなく流石に市販品。苺の旬過ぎてるしね。
 僕の正面では父さんがコーヒーを飲みながら、新聞を読み続けていて、母さんが鼻歌(なぜか第九)を歌いながらキッチンへと戻っていく。
 今日も但しく平和な朝だった。


 天高く馬肥ゆる秋とはよく言ったもので、窓の外に見える青空は綺麗だしご飯も美味しい。という訳で理由にはなってないが今日のお昼は購買だ。
 決して母がお弁当を作ってくれないとかそういうことではなく、買い弁をすることに意義があるのだ。なぜかというと、ここのカツサンドは美味しいと有名だから。
「お、何々? 青はカツサンドなわけ」
 僕と一緒に購買でパンを物色していた順平が、僕が手にしたそれを見てカツサンドもいいよなあ、と呟いた。
 順平は僕のクラスメイト。中学2年のとき順平が転校して来て以来の付き合いだから、結構長い。生まれてこの方旅行以外では港区から出たことの無い身としては、転校はちょっと羨ましかったりもする。あんまり転々とするのも落ち着かなさそうで嫌だけどな。
「ジュンペーは今日弁当だろ?」
「そーなんだけどさ」
 あーあーと溜息なんだか唸り声なんだかよくわからないものを漏らして、足りねーのよこれが、とぼやきながら頭を掻く。
「俺の苦手なもんも一杯入ってるしさー。でも残すと親父に叱られんだよな」
 小学生みたいな言い分に、ははっと声をあげて笑う。
 順平は焼きそばパンを購入して(カツサンドちょっとくれよ、って言われたけど笑顔で断った)、他愛もない話をしながら教室へ歩き出す。
「生徒会長サンだ」
 その途中、廊下に立って話す、この学校でおそらく最も有名な人物を見かけた。
 桐条美鶴。順平の言った通り生徒会長であり、この月光館学園の母体である桐条グループのご令嬢でもある。文武両道才色兼備のとにかく凄い人だ。
「美人だよなー……」
 通り過ぎた後で、呟く。何しろ女子にも熱心なファンがいるくらいだ。同じクラスにもいる。熱心というよりストーカーに片足突っ込んでるようなのが。
「生徒会とか入ってたら1言くらいは喋れるのかな」
 僕は相手を知っているけど相手は僕を知らない現状で話しかける勇気はない。というか話しかけたところで何だコイツは、と思われるのが関の山だろう。
「仕事の話だけだろうけどな。入ってみれば?」
 笑いながら無理無理、と答えた。
「部活と掛け持ちなんて出来ないって」
 僕は管弦楽部に所属している。母がバイオリン奏者だったこともあって楽器、ことさらバイオリンには小さい頃から親しんできた。発表会にもいくつか出たし……そう、よく覚えてないけど初めて出た発表会が丁度10年前だったはずだ。
 まあ、言ってしまえば単純にバイオリンが好きでやっている。プロになる気は……どうなんだろう、あるのかな。母さんは僕を音大に行かせる気満々みたいだけど。
 悶々と自問自答しながら歩いていると、前を見ていなかったのが災いしたのか曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
 ほぼ同時にすいません、と言った声が重なる。ぶつかった相手ではなく、その連れ合いらしき女の子と。
「ちょっとお兄ちゃん、ちゃんと前見てよ」
「悪い悪い。すまなかったな」
「あ、いえ……」
 そう言ったのを聞いたのか聞いていないのか、2人は立ち去っていった。方向を見るに外で昼食をとるのかもしれない。今日は天気がいいから中庭も盛況だろう。
「今の、兄妹かな」
 学年を示すバッチは3年と1年のものだった。
「じゃねぇ? 似てたしな」
 順平がどうでもよさそうに答えて、「早く戻らねーと昼休み終わるぞ」と僕をせかす。反抗する理由もないので、というか僕だってお昼を食いっぱぐれるのは嫌だし。さっきより少し早足で歩く。
「山岸さん」
 だけど僕らの教室、2-Fのその隣。2-Eの扉の前で立ち尽くす、ショートカットの女の子に見覚えがあったのでつい声をかけてしまう。
「大空くん。こんにちは」
 大人しい性格の彼女は、今日も変わらずお淑やかに微笑んだ。
「知り合い?」
 不思議そうな順平に同じ部活、と簡潔に答えるとにやーっとちょっと下品な笑顔になる。
「おっまえ水臭ぇなー、可愛いじゃん紹介しろよ!」
「え、えぇ?」
 目の前で可愛いと言われた山岸さんが顔を赤くしておろおろと困惑する。ああ、うん。確かにそういう仕草とか可愛いと思うけど。
「ちょっと」
 刺々しい、声だけで気が強そうだなってわかる女の子の声が背中に刺さる。
「アンタ、風花に何の用?」
「も、森山さん……」
 コギャル……って言えばいいのか?かつて一世を風靡し現在は稀少種となりつつある外見の女の子が、物理的に刺さりそうな視線を僕たちに(殊更順平に)送っていた。
「ホラ、行くよ」
「あ、うん。じゃあね、ごめんね」
 森山さんは山岸さんの手を引きどこかへ去っていった。
 あの2人、性格は真逆なのにすごく仲がいい。学園一の凸凹コンビ。山岸さんのことをいいなぁって言う男子を何人か知ってるけど、森山さんの壁が厚くて迂闊に話しかけられないのだ。
 ぽかーんとしたまま2人が消えた方を見ていた順平が、ようやく正気に返ったのか僕を見て、首を傾げた。
「……ブチギレ侍?」
「何だよそれ」


「ん、おかえりー。遅かったね」
「何か色々遭遇して」
 もう既にお弁当を広げていたゆかりが何それ、と笑う。
 僕たちも早く食べようと席に着いて包みを開く。元々席が隣と前なので、わざわざ机をくっつけたりはしない。
「何見てるの?」
「神社にいたワンコ。カワイくない?」
 右手に箸を左手に携帯を。利き腕じゃない方の手で器用にカチカチと操作すると、画面を俺に見せてくれる。そこに写っていたのは、神主らしき人と白い……ええと、柴犬でいいのかな。犬の種類には詳しくないからどうとも言えない。
「虎狼丸っていうんだって。神主さんの後ろをくっついて歩いててさ、可愛かったー」
 その様子を思い出したのかふふっと笑い、左手で携帯を閉じる。
「犬かぁ……飼いたいな」
「飼えばいいじゃん、お前の家広いんだし」
 ぽつりと漏らした言葉に、順平がそう言ってくるけど物事はそう簡単に運ばないのだ。
「父さんが嫌がるんだよ」
「え、お母さんじゃなくて?」
 どうせ世話するのお母さんなんだからーってやつじゃないの、とゆかりが首を傾げる。
「母さんはいいって言ってるんだけどさ、父さんが『死んじゃったら悲しいだろ!』って」
「まー……そりゃそうだな」
 納得できるようなできないような、といった微妙な表情。
「青くん、犬、好きなの?」
 ゆかりに訊ねられて、素直にうんと頷く。
「じゃ、じゃあ!放課後一緒に神社行こうよ、コロちゃんに会いにさ」


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