ブロ愚

日々徒然と妄想文

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あくじき
インテお疲れ様でしたー!
……いえ私は箱根に居ました。ただいまでーす。
いつかインテも行ってみたいですねー。
というか、去年のインテにむちゃくちゃ行きたかった……。
まだ言うかって感じですが(去年の8月の日記参照)
楽しそうだったんだもの……。



続きから短めですがしょうせつー。
例のごとくちまちま書いてたのが一区切りついたので。
もうちょっと続きがあるので全部書けたらサイトの方に上げます。

ただ、グロ注意って言うほどではありませんが会話の主題がカニバリズム(食人)です。
そういうものが苦手な方は見ないの推奨。







あくじき



「先輩は人肉って食べたことあります?」

「あるわけねえだろ」
 予想通りの返答に、ですよねーと頷く。
「なんだ、オメーは人肉食いてえのか」
 若干引き気味でも会話を続けてくれるのは優しいと思う。大変に好ましい。花丸である。
「まあ。食べたことない肉なので」
「あったら驚きだ」
 驚いてくれるのか。この人が本気で驚く姿とか見てみたいな、あるって言えばよかった。ちょっと後悔。
「野犬とか鳩とかならあるんですよ。自分で捕って焼いて」
 ケモノと命懸けの追いかけっこした経験が今になって生きてくるとは思いもしなかったなー、とちょっと遠い目で幼少期を振り返る。将来化物と戦うとかそんなゲームみたいなこと想像しなかった。
 あ、別に必要に迫られてやってたわけではないと言っておく。あくまで趣味……というか好奇心ゆえの行動だ。
「どこの狩猟民族だオメーは」
「失敬な、ちゃんと「いただきます」はしてました」
「そういう意味じゃねえ」
 ボク文化人デスヨ!と訴えてみるけど眉間に刻まれた皺は取れない。あー、これは、あれか。
「子供の頃の話です。今はしてませんから、先輩が餌をあげてる野良犬とか野良猫の心配はしなくても大丈夫ですよ」
 先輩が舌打ちしながら視線を逸らす。うん、やっぱりそこが気になっていたらしい。本当に動物好きだなこの人は。小学校のころによくある将来の夢を書けとかいう作文で”ムツゴロウ王国”って書いてそうだ。今度訊いてみよう。頭突きのお返事がきそうだけど。
「人肉はザクロみたいな味がするとかなんとか」
 思わずにんまりと笑顔になりながら話を続けると、ゲロ以下の臭いがプンプンするぜェーって顔、と副音声が入りそうな表情をされる。
「じゃ、ザクロ食って我慢しとけ」
 投げやりなその返答に、ちょっとムッとしながら弁を弄する。
「ザクロはザクロであって人肉じゃないですよ。先輩は醤油プリンをウニだって言い張るんですか?」
 ご飯にプリンのせて醤油を垂らせばウニ丼ですか。そんなものが横行すれば世の寿司屋が色んな意味で涙を流しますぞ……ということを目で訴えるけど、黙ってスルーされた。元々伝わってなんかないのだろうけど。意思疎通って難しい。
「人間は食いもんじゃねえだろ」
 ……ん? ああ、大前提が違うのか。
「でも生き物ですよ。ぼく、生きてるものはすべからく食物とみなしますので」
 さすがに無機物、鉄とかプラスチックには食欲わかない。咀嚼できないし。
「だからこそ荒垣先輩に興味持ったんです、ぼくは」
「ああ?」
「食べ物と見なせなかった人、珍しいから」
 初めて会ったのはいつだっけ、5月かな。あの時は顔を合わせたのが短すぎて何とも思わなかったけど、6月に再会したときあれっ?と首を傾げたのをよく覚えている。あの時はチンピラどもに対してコイツら(正しい意味で)食ってやろうかとか考えてた反動もあるんだろうけど。
「他の奴は食えるのかよ」
「風花あたりとかムチムチしてて美味しそうです」
 肯定の返事をすっ飛ばして個人的な評価を語ると「別の意味に聞こえんぞそれ」と笑われた。ううん、ぼく別にそっちの欲は強くないんだよな。3大欲求が大幅に偏っている自信がある。
 でも、という一言で話の流れを戻す。
「今なら理由、わかります」
 こういう時どんな表情を浮かべたら正解なのかな。息を吸う1拍の間に答えは出なくて、結局そのまま、いつもの無表情と揶揄されるそれで言葉を続ける。
「先輩、生きてるニオイしないから」
 勿論物理的に死臭がするとかそういうことではない。命に対する執着とか、未来への覇気。誰しもにあるはずのそれが、この人はひどく希薄だ。そこから見えるイメージこそ、生あるものより死体に近い。
 先輩が息を呑む。解らないとでも思いました、って聞いてみたいところではあるけど、隠したがり離れたがりの彼にとってそんな質問は苦痛だろう。
「ね、先輩」
 だから、黙っておこう。この人に嫌な思いをさせるのはぼくの本意じゃない。
「もし先輩が死んだら、その体ぼくにください」
 でもこれは本気の願望でもあるので、結局ぼくは自分の好きなことを言っているのに過ぎないのでした。
「……食うのか?」
 おっ、解っていらっしゃる。はい、と語尾に音符が付くくらい上機嫌に答えると、溜息と共に緊張した表情が崩れた。あ、すっごい嫌そうな顔してる。
「何でですか?いいじゃないですか」
「何でってお前な」
「ぼくは人肉食べられるし、先輩はぼくの血となり肉となり生き続けられるんですよ。いいことづくめじゃないですか」
 よかねえよ、と頭を抱えそうな先輩。何がよくないんだよーとぶーたれる、ぼく。お互いに踏み込み過ぎないように、肝心なことになんて何一つ気付いてないとでも言うように、他愛も無い会話を続ける先輩とぼく。
 ねえ先輩。声に出さずに話しかける。ぬるま湯のようなその空気を食み続けることこそ、悪食だとは思いませんか。


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