ブロ愚

日々徒然と妄想文

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BGM:どこかで他人が死んでいる
ちょっと今課題とレポートやってるので
続きに10話bのキリがいいとこまでのっけておきます
場面転換がないのでどこまでにするかちょっと悩んだ……
荒垣先輩はゲーセンのゲーム色々得意だといいなっていう妄想
捏造ばんざい
しかし公式はもうちょっと荒垣先輩の幼少期(小~中学生時代)を掘り下げてくれ頼む
280の荒垣先輩視点も書いてるんですがその辺の話避けられないので


拍手くださった方々ありがとうございました!
がんばって書き上げます……!
280は3月までに終わらせるのが現時点の目標
3月5日から次の話を……!という目論み




10 / 200万秒と少し(9/24) -b


 思うに。
 UFOキャッチャーと俗称されるそれは未確認飛行物体が人をさらうとかいう伝説だか迷信だかからくる名称で景品を人間としアームをUFOと例えるならばそれを操作している俺は宇宙人なのかと思うけどそもそも地球も宇宙の一部だからもともあっ!また!
(あーあ)
 虚しく宙を掴んだアームを見て、思わずため息。アクリル板一つ隔てた向こうに並ぶフロスト人形の数々を、つい恨みがましく見つめてしまう。
 エリザベスの依頼は基本的にお使いみたいなものだからそんなに難しくなかったけど、今回ばかりはレベルが違いすぎる。難しいどころじゃない。
(3つって、無理だろ……)
 実のところ、依頼を受けて1ヶ月以上は経っているのだけど未だ1つもとれていない。今日こそは、と勇んでみたはいいものの結果は惨敗だ。
 ゲーセンに来たことが無かった、とは言わないけど、クレーンゲームは見向きもしなかったと思う。全くと言っていいほどやったことがなかった気がする。しかしコレ、経験値があればいいってものでも無さそうなんだよな。
 100円玉を2つ入れてボタンを叩く。真上に来た頃合いを計って手を離す。よしっ、掴ん――あ、落ちた……。
「頭でけえんだから真ん中掴んだって取れねえだろ」
「えっ?」
 唐突に後ろから掛けられた声に、思考停止。
「頭だ、頭。他に引っかけるとこ無さそうだしな」
 ぱちぱちと無駄に瞬きをして俺の横に立ったその人の顔をじっと見る。
「少しずつ落とし口まで引きずってくってのも手だが――……」
「荒垣先輩」
「何だよ」
 あ、ああそうだ荒垣先輩だ。自分で口にしてようやく認識。予想外というか意外というか、いやそれは失礼か。先輩だって普通に買い物とかするだろうしモールに居たっておかしくはないわけで。偶然通りかかったから声をかけてくれたんだろうか。それはちょっと嬉しい。プラス、今救いの光明を見た気がする。
「得意なんですか?」
「得意っつーか……中学ん時よくやってたってだけだ」
 いいえ充分です!
「取ってもらっても、」
「自分でやれ」
 断られた。救いの光明消滅。ちょっとうなだれる。
「……横でアドバイスくらいならしてやる」
 しょげる俺が哀れになったのかそう言ってくれて、ぱっと顔を上げた。
「とりあえず、奥のやつ狙うのはやめとけ。落とし口近ぇ方が取りやすいだろ」
「はい」
 頷き、お金を入れてボタンを叩く。ういーん、と間の抜けた機械音を鳴らしながらアームが動く。少し行きすぎてしまったのか、頭を狙ったつもりが帽子を掠めただけで掴めなかった。
「もうちょい手前だな。アームの影見ろ」
「はい」
 そうやってアドバイスを聞き続け挑戦を続け……て、数十分後。ういーん。ういーん。ういーん。ういーん。と、耳にタコができそうな程機械音を聞いて、それでも相変わらずアームは虚しく宙を掴むばかりだった。
「……下手だな、お前……」
 呆れるを通り越して感心されてしまう。それほどでも、と照れながら言うべきか悩んでみた。事実だったのでやめておいた。
「どけ」
 言われるまま立っていた場所から退くと、その位置に先輩が収まる。頭上に疑問符を浮かべながら先輩を窺うと、照れくさいのか僅かに声のボリュームを落として、取ってやるよ、と俺から目を逸らす。
「やるの久々だからな。1発じゃ取れねえと思うが」
「俺よりは、マシかと」
「はは、違いねえ」
 自虐ネタを笑ってくれた。こうしていると、普通の先輩後輩っぽいなと思う。
 ……うん? "普通"、か。俺たちは普通じゃないのかな。自分で考えた事に、自分で疑問を抱く。
 荒垣先輩は休学中とはいえ3年生で、俺は2年なんだから先輩後輩なのは間違いない。ただ、そもそもの関わりがSEES――特別課外活動部、シャドウ討伐なしにはありえなかった。普通じゃない、と言い切るならそこだろう。
 というか、今気づいた。俺たちの繋がりはそこだけなんだ。映画見に行ったりとか変化はあったものの、影時間以外は言葉を交わすことも少なかった。会話の内容でさえ、例えばシャドウのことや戦い方や作戦のことなど、影時間にまつわるものが多かったのだ。
 順平や岳羽さんみたいに同じ学年で同じクラスでもなければ、桐条先輩みたいに生徒会で同じわけでもない。影時間が無くなったら、話すことも無くなるのだろうか。先輩は俺のこと、"昔ちょっと関わった奴"として、過去のものにしてしまうんだろうか。
 シャドウ退治が終わったら、一緒に終わってしまう関係。それはすごく、寂しくて、悲しい気がした。
 俺が悶々とそんなことを考えている間に、先輩は何度か操作して舌打ちして、「しかし」と呟く。その声で、ぼんやりしていた俺の思考が現実に戻ってくる。
「お前、こういうの好きなのか」
 好きかと問われれば、好きだ。頷く。
「可愛いですよね」
 ジャックフロストは可愛い。すごく可愛い。どこがって言われると困惑するけど、かわいい。
「いや、かわいいか……?」
 先輩が訝しげな表情で首を傾げたそのとき、
「あっ!」
 フロスト人形の体が持ち上がった。浮き上がった。
「……わぁ……!」
 アクリル板に手をついて、その向こうを凝視する。ゆらゆら、不安定に揺れながらも落とさずに、アームは少しずつゆっくり進んで――大きく開いた落とし口の上で、掴んだぬいぐるみを手放した。
「すごい……!」
「別に、凄かねえよこれくらい」
 感動する俺に、落ちてきたフロスト人形をぎゅっと押しつけてぶっきらぼうに返す。あ、ふかふか。心地のいいファーの感触。
「ありがとうございます」
「……ん」
 頭を下げて、お礼を言う。まんざらでもなさそうな表情が、次の一言で硬直した。

「あと2つもお願いします」


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