ブロ愚

日々徒然と妄想文

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
BGM:タナトスの幻想
さむいです。
結局書き終わらなくて、徹夜で書き上げ提出するために大学へ行きとんぼ返りで帰宅そして船
という強行スケジュール決定。ていうか書き終わるのかどうかすら不明

SHの「壊れたマリオネット」が綾主っていうかタナ主っていうか
自分ち主人公というか青そんぐに聞こえてならない
サンホラ厨ですいません


自分でボツったくせにまだ諦めきれない連載ネタの書いてたとこ1話だけアップして供養
書くにしても今書いてるのとその続きの話があるのでその後になっちゃう上に
今までのペースからしておそらく1年はかかるので(´Д`;)






何週もしてる主人公
読んで気付かれるかもしれませんが、青です。





『理由はたったひとつだけ』


 俺は、本当は戻ってくるつもりなんてなかった。
 人生はたった一度きり。それは常識で当然で、当たり前のこと。第一過去になんて戻ったら俺は死ぬような戦いの日々をもう一度やって世界を一旦滅ぼしかけて、また救わなきゃいけなくなる。そんなのは正直ごめんだった。ニュクスを封印して大人しく俺も眠るつもりでいた。
 だけど。
 9月の、いつだったか。夜中目が覚めてしまって、眠れなくて。ラウンジでテレビを見ながらぼんやりしているうちに眠くなって、俺は目を閉じた。しばらくして、誰かが近づいてくる気配がした。寝てるのか、って声で荒垣先輩だとわかった。起きようかとも思ったんだけど、ようやく訪れた眠りから醒めたくなくて、まどろんだままでいた。そのうち体が温かくなって、毛布か何かかけてくれたのかな、とぼんやり思った。
 ふいに、唇に何かが押し当たる感触がした。
 すぐに目を開けたつもりだったんだけど、そのときにはラウンジにはもう誰もいなくて。夢かと思った。でも体にかけられた毛布は存在したし点いていたはずのテレビは消えていた。そのときは唇に触れたものが何なのかわからなかったし、何となく聞いちゃいけないような気がして聞けなかった。
 結局あの人は俺に何も言わなかったし俺は自分の感情に気付いてさえいなかった。俺はあの人が好きだったんだと気付いてはじめて、あれはキスだったんじゃないか、あの人も俺と同じ気持ちだったんじゃないかと思った。
 だったら。もしもう一度やり直せたのなら、俺はもっとあの人の傍に居られるんじゃないか。それどころかあの人が生きている未来を見ることができるんじゃないのか。そう思ったら堪らなくなって、俺は、過去に戻ることを選んだ。
 多少の制約はつく。代償も要る。だけど、どんな奇跡も必然と化す。今の自分をそのままに、時を戻すことさえも。
 『何故そんなことを?』愚問だ。そんなの決まってる。

 理由はたったひとつだけ。――あの人のことが、好きだから。

 傷ついたっていいんだ、どれだけ痛くても構わない。あの人の為に、あの人が喜ばなくても、なんだってするとそのとき誓った。どうせ終わった人生だ、そのために必要な罪なら一生背負ってやる。
 なのにいつも上手くいかなくて、見えない運命の糸に絡めとられるみたいに、あの人は死に掻っ攫われてく。 何度も何度も過去に戻って何度も繰り返して何度も何度も彼は死んで、そうして俺は気付いてしまう。
 ……繰り返さなければ。彼は1度しか死ななかったはずなのに。何度も何度も死ぬ破目になっているのは、他ならぬ俺の所為じゃないのか。あのひとは殺されるんじゃなくて、



   俺 が 、  殺  し



 跳ね起きる。ひどく荒い自分の呼吸を宥めるように胸に手を当てて、周りを確認して、そこが自分の部屋であると知り、今まで見ていたものは夢だと理解した。
 震える自分の肩を抱き、膝に顔を埋めた。肩を抱く手まで震えていた。瞼が熱い。汗で濡れた寝間着と荒い自分の呼吸が不快だった。暫くそのままじっとして呼吸を落ち着ける。
 体の熱が冷めると掻いた汗がひどく冷たく感じた。額に掻いた汗を拭い、ベッドから降りた。
 カーテンを閉め切った部屋は薄暗く、それが無性に嫌になってすこし乱暴にカーテンを開けた。窓を開けると、朝の空気が風ごと入ってくる。すこし冷たい秋の気温はただ寒いばかりだったけど今はとにかく換気がしたかった。
 ――悪夢を見るのは、久しぶりだった。ずっと昔、初めて厳戸台に来た頃はよく見ていた。それこそ眠れなくなるくらいに。いつから見なくなったのかはよく覚えていないけれど、色々と吹っ切れた頃からだろう。
 左手の薬指の根元を撫でて、深く、深く溜息を吐いた。備え付けの鏡に疲れた様子の自分の顔が映っている。血色はあまりよくない。あんな夢を見れば当然だ。壁に寄りかかって、ずるずると床に座り込んだ。
(疲れた)
 どんなに強い感情を持っていても、月日が流れればそれは薄れていく。決意よりも諦念が重く頭をもたげてくる。そうして、今自分がしていることは無駄なことなのではないかと――そんな考えに支配される。あの結末でよかったのだと、彼自身が、彼の周りの人間が、それを認めていたのに。そんなのは嫌だと、自分1人が駄々をこねて空回りしているだけではないか。真っ直ぐに立ち続けるのは思っていたよりもずっと難しくて、慣れと疲れに背骨を折られてしまう。
 ……辛い。苦しい。何もかも投げ出したくなる。忘れてしまいたくなる。
(でも……)
 それでもあの人が生きている姿を見るたびに未来が見たくなる。彼が生きている未来を。そのためならなんだってできる、なんだってすると、確かに誓ったのだから。
(まだだ)
 ぐっと手を握り締めた。
 まだいける。まだがんばれる。自分はまだ、戦える。
「よしっ」
 自分の頬を音がするくらいに叩いて、勢いよく立ち上がる。寝間着を脱いで私服に着替え終わるころには顔色もよくなっていた。叩いたせいかもしれないけど。鏡に向かって笑いかける。多少引きつってるけど平気平気。部屋を出て、彼の部屋のドアをガンガン叩く。ノックと言えないレベルで。

「せんぱーい、釣り行こう!魚釣りー!!」

 テンション高く喚き散らす。先輩は優しいから、なんだかだ文句を言いながらも出てきてくれるだろう。それを不愉快だと思っていても、俺のことを好いていなくても。俺は変わってしまったけど、あの人は変わらない。それとこの胸の中にある、あの約束も。
 たったひとつの理由のために、俺は今日もあの人を振り回そう。それがきっと、未来に繋がる可能性になるから。

 さあ、扉が開く。



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。